「タッチを優しく」「タッチコントロールをして」などとアドバイスされたことは無いでしょうか?
「タッチ」と言われても初級者のうちは何をどうして良いか分からないですよね。
テニスのタッチコントロールを一言で表現すると「グリップへの握力の入れ具合」となります。
テニスコーチ歴25年のhachizooが、タッチコントロールはどのようなイメージなのか?また実際のプレーでの使いどころも解説いたします!
タッチコントロールとは?
タッチとはグリッププレッシャー(握力)のこと
テニスで言う「タッチ」とは、グリップの握りの強さ(グリッププレッシャー)によってショットの強弱をコントロールする技術です。
回転、主にスライスのかかり具合によって強弱や長短を表現する方法もありますが、今回はグリッププレッシャーでのコントロールを解説していきます。
〇グリッププレッシャーを強くすると…
- 反発力が増し、ボールが加速して良く飛ぶ
- 強い当たりとなり威力が上がる
- ラケット面が負けにくくなる
- フラット系ストロークの強打や決めボレーなどに適している
このように、グリップを強く握ると「飛ぶ」「強い」「加速する」などのイメージとなります。
相手のパワーに真っ向から勝負していくタイプならば、上記のメリットを活かすべきでしょう。
デメリットとしては、相手のパワーをいなしたり、後に紹介する繊細なタッチを要するショットは難しくなります。

初心者、初級者は、このグリッププレッシャーが強すぎる傾向があります。
コントロールが出来なくなる不安感から、ラケットをぎゅっと握らないと落ち着かない心理があるのでしょう。
ただ、このままでは動きも固くなりますし、テニスの幅が広がっていきません。
強いショットや飛ぶショットだけでは、当然大きさに限りがあるテニスコートでの狙いを有効には出来ません。

図の通り、角度を付けようとすると強いショットではサイドアウトしてしまう可能性が高いです。
コートのショートサイドが使えませんので、相手を動かせる幅が限定されてしまいます。
〇グリッププレッシャーを弱くすると…
- 相手のボールの勢いを吸収する
- 打ち返すボールは減速して飛ばなくなる
- テニスコートのショートサイドを狙いやすくなる
- タイミングが合わないとラケット面が負けてエラーになる
- ドロップショットやアングルボレーなどの繊細なショットに適している
このようにグリップの握る力を弱くすると、「相手ボールの威力を吸収」「減速」「飛ばさない」などのイメージとなります。
相手のパワーに真っ向勝負するのではなく、いなしてコートに上手く収めるという戦術が使えます。
かと言って、握力をすべて抜いてしまうとラケット面が負けてしまいますし、最悪ラケットを取り落としてしまいます。
「どのくらい抜くのか」「どのタイミングで抜くのか」などの技術が必要となり、その為の練習が必要になります。いきなり出来るものではありません。

弱いグリッププレッシャーを使いこなせるようになるとテニスの戦術の幅がとても広がります!
いきなり出来るようになるものではありませんし、体感で掴む技術ですので、使えるようになれば中上級者の仲間入りと言っても良いでしょう。
ドロップショットやアングルボレーなどの、テニスコートのショートサイドを活用するショットは基本的にこのタッチが必要になります。

図のように、コートのショートサイドを使えるようになると相手を動かせる幅が飛躍的に高まります。
深いショットと組み合わせれば戦術の幅はどんどん広がっていきますね。
タッチコントロールの分かりやすいイメージ
「グリッププレッシャーを抜けば、相手のボールの勢いを吸収できる」
このことを利用したのがタッチコントロールですが、こう言われてもいまいちイメージがわかない方が多いかと思います。
そこでイメージが分かりやすい方法を一つご紹介します。

上の画像は床にラケットを置き、グリップ部分を足で踏んで押さえています。
この状態でボールをスイートスポット(面の真ん中)に向かって落下させると、ボールは勢いよく跳ね返ります。

今度は足をどかして、ラケットだけの状態でボールを落下させてみましょう。
ボールがラケット面に当たった瞬間にラケットがたわみ、威力を吸収して先ほどよりは跳ね返りが小さくなるのを実感できるはずです。
足で押さえた状態が、「グリップを強く握っている状態」です。
足を離した状態が、「グリップを握っていない状態」です。
ボールが反発するか吸収されるかが、グリッププレッシャー=握力によって起こっていることを実感できますね。
このことからタッチコントロールは「インパクトの直前、もしくは瞬間に握力を抜く」ことがコツになります。

実際は握力を完全にゼロにすると面が負けすぎてしまいコントロールできなくなります。
なので、この抜き加減を意識しながら、コートの様々な場所に狙えるように練習することが大切です。
タッチコントロールの必要なショット
上記で説明したタッチコントロールが必要なショットを紹介します。
どれも戦術の幅を広げることに役立ちますし、中上級者になるために覚えておいた方が良い技術です。
ドロップショット(ボレー)
相手のボールの威力を減衰して、テニスコートの手前に落とすショットです。
ワンバウンドで打つドロップショット、ノーバウンドで打つドロップボレーがあります。
ドロップショットの方はある程度の逆回転(スライス)を掛ける必要があり、難易度が高めです。
最初に覚えるならばネット前で比較的易しくできるドロップボレーがお勧めです。
〇ドロップボレーのコツ
- ネット前でボレーのラケットセットを行う
- 普通に強い当たりをする面でセットしておく
- インパクトの直前に握力を抜く
注意点は、腕でラケットを引いてしまうと逆にボールが飛んでしまったり、浮き上がってしまったりします。
あくまで「握力」のみを抜くことを心がけましょう。
アングルショット(ボレー)
テニスコートのショートサイドに角度を付けて狙うショットです。
ショートサイドを狙うために、基本的にはタッチコントロールが必要になります。例外で浮き上がったボールを強くたたきつけるボレーならば狙えることもあります。
こちらも回転の要素が必要なワンバウンドよりも、ノーバウンドのアングルボレーの方が習得しやすいと思います。
〇アングルボレーのコツ
- なるべくネット前に詰めて角度がつけやすくする
- グリップは薄く握り、弱いタッチでインパクトする
- 身体から離れたところで打球する
- 行方を見ずに、目線を打点に残す
ドロップボレーほどではありませんが、ショートサイドを狙うためタッチを弱くする必要があります。
ネットから遠ざかる(下がる)ほど、角度を付けることが難しくなるので、最初はネットに詰めた状態で練習しましょう。
注意点として、身体に近いところでは面の向きを作りにくかったり当てにくかったりしますので、身体から離れた打点をお勧めします。
また、目線が離れて行方を追ってしまうと、身体が開いていってしまい上手くコントロールできません。
目線は打点に残して、身体はやや閉じる(横向き)ことを心がけましょう。
スライスロブ
ラケットをスライス面でセットして、相手のボールの勢いを利用しながらロブを上げるショットです。
面を開いて当てるため、強いタッチで打ってしまうとバックアウトしてしまいます。
慣れてくると簡単に守備が出来るようになりますし、立体的な展開を作りやすくなります。
〇スライスロブのコツ
- スライスショットやブロックリターンの形でラケットセットします
- 面の開き具合(上向き加減)で高さのコントロールをします
- インパクト時のタッチ(握力)の入れ具合で飛距離を調整します
スライスロブの質は、インパクト時の面の開き具合と握力の入れ具合で調整します。
面を開けば開くほど(上向きになればなるほど)、ボールの高さが出るようになり、滞空時間が上がります。
相手のボールの速さなども考慮に入れながら、握力の入れ具合を調整します。握力を入れれば入れるほどボールの飛距離は増していきます。
守備の局面などで、十分な高さと飛距離を出して、なおかつアウトしない為には、ちょうどよい加減を身体で覚える必要があります。
ただ使いこなせるようになると様々な局面で応用が利き、テニスの幅がとても広がります。
ローボレーやハーフボレー
ローボレーやハーフボレー(足元でワンバウンド直後に打つショット)に関しては「ネットより低い打点で打たなければならない」という特徴があります。
そのためローボレーは面を上向きに開きインパクトする、ハーフボレーはラケット全体をやや持ち上げてスイングします。
この際にタッチが強すぎてしまうと、当然飛距離が出過ぎてしまうのでアウトしてしまいます。アウトしないためのタッチコントロールが必要になってきます。
相手のボールが速くて威力がある時なども、そのまま力任せに返球してしまうと、反発しすぎてアウトしてしまう結果に。
うまく相手の力をいなすための、タッチコントロールを覚えていきたいですね。
タッチコントロールの使いどころ3選
タッチコントロールを活かしたショットを組み込んだ戦術の一例をご紹介します。
深いスライス→ドロップショット
ストロークの打ち合いで深いスライスショットを打ち、その後ドロップショットを対角上に打つ。
スライスショットとドロップショットは始動が同じなので、相手にばれにくいメリットもあります。

赤→(スライスショット)で相手を深くに追い込み、青→(ドロップショット)で逆サイドの浅いところに狙う。
相手をコートいっぱい走らせることのできる戦術です。
アングルボレーポーチ
ダブルスでのポーチボレーをセンターに打つと見せかけて、アングルコートに決める。
相手ストローカーからもボレーヤーからも遠い場所となりますので決まりやすいメリットがあります。
アングルを狙うこと自体が、サイドアウトなどのリスクを伴いますので、多用しすぎるのはお勧めしません。

ロブリターン
相手のサービスの力を利用しながら、スライスロブを上げる戦術です。
厳しいサービスに対する守備にも使えますし、ダブルスでは自分から積極的に仕掛けて前衛の頭の上をパスしてチェンジさせるという攻撃的な戦術もお勧めです。
ただ、甘く入ってしまうとスマッシュなどで打ち込まれてしまいますので注意が必要です。
まとめ
〇テニスのタッチコントロールはどう出す?使いどころも解説!
- タッチコントロールとはグリッププレッシャーの強弱でショットメイクをすること
- コートのショートサイドを狙う繊細なショットはタッチの強弱でコントロールする
- タッチコントロールが出来るとコートを広く使え、幅広い戦術が行える
以上、参考になれば幸いです!
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